温泉の効能とは?泉質ごとの効果も解説!

温泉は古来より日本人に親しまれ、心身を癒す場所として利用されてきました。しかし、温泉の効能や注意点についてはあまり知られていないことも多いです。今回は、温泉の効能や泉質ごとの効果、そして温泉の禁忌症について詳しく解説します。

参考:国立国会図書館「温泉で心身を復活させよう」、環境省「温泉療養のイ・ロ・ハ」・「あんしん・あんぜんな 温泉利用のいろは

そもそも温泉とは?

温泉は、地下から湧き出る温水であり、温泉法により定義されています。以下のいずれかの条件を満たすものが温泉とされます。

  • 源泉の温度が25度以上: 地下から汲み上げられる時の温度が25度以上のもの。
  • 特定の成分を一定量以上含む: 溶存物質の総量や特定の成分が一定量以上含まれているもの。

これらの条件を満たす温泉は、その成分や温度によってさまざまな効能を持ち、健康に良い影響を与えるとされています。温泉には、単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、酸性泉、含よう素泉、硫黄泉、放射能泉などの種類があり、それぞれに異なる効果があります。

温泉の効能とは?

温泉には多くの効能がありますが、その効用を最大限に引き出すためには、泉質ごとの特徴を知ることが重要です。以下に主要な泉質とその効能を紹介します。

1. 単純温泉

  • 効能: きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症、自律神経不安定症、不眠症、便秘
  • 特徴: 溶存成分が少なく、刺激が少ないため敏感肌にも優しい。

2. 塩化物泉

  • 効能: きりきず、末梢循環障害、冷え性、胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘
  • 特徴: 皮膚に塩分が付着し、保温効果・循環効果がある。

3. 炭酸水素塩泉

  • 効能: きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症、胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、耐糖能異常(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)
  • 特徴: 皮膚の角質を軟化させ、腸のぜん動を活発化する。

4. 硫酸塩泉

  • 効能: きりきず、末梢循環障害、冷え性、萎縮性胃炎、便秘
  • 特徴: 肌を柔らかくし、保湿効果がある。

5. 二酸化炭素泉

  • 効能: きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症
  • 特徴: 小さな気泡が肌に付着し、保温効果や循環効果がある。

6. 含鉄泉

  • 効能: きりきず、末梢循環障害、冷え性、鉄欠乏性貧血
  • 特徴: 鉄分を多く含み、空気に触れると金色に変色する。

7. 酸性泉

  • 効能: アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、表皮化膿症、耐糖能異常(糖尿病)
  • 特徴: 殺菌力が強く、皮膚にしみることがある。

8. 含よう素泉

  • 効能: 高コレステロール血症
  • 特徴: 非火山性の温泉に多く、放置すると黄色く着色する。

9. 硫黄泉

  • 効能: アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症、耐糖能異常(糖尿病)、高コレステロール血症
  • 特徴: 強い殺菌力があり、皮膚の細菌やアトピーの原因物質を取り除く。

10. 放射能泉

  • 効能: 高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎
  • 特徴: 微量の放射能が含まれ、炎症に効果的。

温泉が療養に良い理由

温泉は、心身を癒す力を持つ場所として古くから利用されてきました。その効能は多岐にわたり、以下のような理由で療養に良いとされています。

1. 温熱効果

温泉の温かい湯に浸かることで、血管が拡張し血流が良くなります。これにより、新陳代謝が活発になり、老廃物が排出されやすくなります。42度以上の熱い温泉は交感神経を活性化させ、覚醒状態を導きます。一方、ぬるい温泉は副交感神経を活性化し、リラックス効果をもたらします。

2. 水圧効果

温泉に浸かることで体にかかる水圧が、内臓や血管に適度な刺激を与えます。これにより、血流が促進され、むくみの解消や血液循環の改善につながります。

3. 浮力効果

温泉の浮力は体重を軽減し、関節や筋肉への負担を軽減します。これにより、リラックスした状態で筋肉や関節を休めることができます。また、浮力によって運動機能の回復が促進されます。

4. 転地効果

温泉地という普段とは異なる環境に身を置くことで、心身がリフレッシュされます。自然環境の中で過ごすことで、ストレスが軽減され、自律神経のバランスが整いやすくなります。

5. 薬理効果

温泉の成分が皮膚から吸収されることで、体にさまざまな効果をもたらします。泉質によって異なる効果があり、温泉の成分が体に働きかけることで、健康を増進する効果が期待できます。

美肌の湯とは?

美肌の湯とは、肌に良い効果をもたらす温泉のことを指します。以下の泉質が美肌効果で知られています。

1. アルカリ性単純温泉

アルカリ性の温泉は、古い角質を柔らかくし、肌の新陳代謝を促進します。皮膚の不要な角質を落とす効果があり、美肌効果が期待できます。

2. ナトリウム-炭酸水素塩泉(重曹泉)

重曹泉は、皮膚の脂肪や分泌物を乳化して洗い流す効果があります。これにより、肌がすべすべになり、美肌効果があります。

3. カルシウム-硫酸塩泉(石膏泉)

硫酸イオンが皮膚の弾力繊維を強化し、皺を防止します。また、肌を引き締める効果があり、プリプリとした肌を保つのに役立ちます。

4. 硫黄泉

硫黄泉は余分な皮脂を落とし、ニキビにも効果があります。毛細血管を拡張し、古い角質層に包まれたメラニンを分解することで、しみを薄くし、肌を白くする効果があります。

温泉の禁忌症ってどんなもの?

禁忌症とは、「1回の温泉入浴または飲用でも有害事象を生ずる危険性がある病気・病態」のことを指します。以下に、全ての温泉に共通する禁忌症と、泉質によって異なる禁忌症を紹介します。

1. 温泉の禁忌症 ~全ての温泉に共通するもの~ 入浴編

  • 病気の活動期(特に熱があるとき): 体力が消耗している際の温泉浴は大きな負担となり、症状が悪化することがあるので避けましょう。
  • 活動性の結核、進行した悪性腫瘍、高度の貧血: 身体の衰弱が著しい場合、入浴は避けましょう。
  • 重い心臓・肺・腎臓の病気: 水圧による負担が大きく、医師の指導が必要です。
  • 消化管出血、目に見える出血: 安静を保ち、止血が確認できるまで入浴を避けましょう。
  • 慢性病の急性増悪期: 発熱や呼吸困難がある場合、入浴を避けましょう。

2. 温泉の禁忌症 ~泉質によっては禁忌症となるもの~ 入浴編

  • 高齢者の皮膚乾燥症: 皮膚乾燥症の悪化を防ぐため、泉質によっては入浴を避けましょう。
  • 皮膚または粘膜の敏感な人: 湯ただれ(皮膚炎)を起こす可能性があるため、入浴を避けましょう。

3. 温泉の禁忌症 ~飲泉編~

特定の病気・病態の人は、成分摂取許容量を守り、掲示された飲用量を必ず確認してください。以下に成分ごとの飲用許容量を示します。

  • ナトリウムイオン: 1200mg/Lを超える量
  • カリウムイオン: 900mg/Lを超える量
  • マグネシウムイオン: 300mg/Lを超える量
  • よう化物イオン: 0.1mg/Lを超える量

まとめ

温泉には様々な効能があり、泉質ごとに異なる効果があります。温泉の選択に際しては、自分の症状や目的に合った泉質を選ぶことが重要です。温泉の禁忌症にも注意し、適切に利用することで、温泉の効能を最大限に享受しましょう。日常のストレスや疲れを癒すために、温泉を効果的に活用してみてください。

 

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